私の中で男になって
「今トイレ並んでたらたらさ、前をちょこちょこって小学生くらいの子が入ってきてさ、2人分ぬかされた」

それを翔君はまるで自分のペットのいたずら話を語るように言った

翔君は顔は穏やかそうなタイプではない

やさしいお兄さんというよりは

チャラチャラしてて、町をふらふら歩いてそうなタイプだ


だからこの翔君の子供好きには正直私も驚かされた



私は子供が嫌いだった

うるさいから、空気を読めないから、すぐ泣くから、
失礼だから

嫌いなだけじゃなくて苦手だっていうところもあったのかも


子供はきっと私のことを思いやってはくれないし

見返り以上のものを私から施さなくてはいけない

暗黙のルールが敷かれている気がするから

人前で子供は怒れない

このルールを逸脱すれば逸脱者の目で見られる



いやな時も怒った時もイラついている時も

その感情をつぶさなきゃいけないなんて耐えられなか
った

我慢なんてしたくない

だから関わりたくない、だから子供は嫌い


我慢なんて嫌





我慢できない人を子供というのだろうか

ならば私も子供なのだと思う

かわいいからとか小さいからとかじゃなくて、

翔君はただ本当に子供が好きなんだと思う

「だって子供好きだもん」

照れ笑いしながらぼそぼそっという翔君は

どうして子供が好きなのか教えてくれない

だけどきっと

翔君は自分の子供を



すごくかわいがると思う




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