私の中で男になって
「彼女にはめられるとかマジウケるよなぁ」

翔君は啓祐のことを話す時少し機嫌がいい

好きな人のことを話すときは機嫌がよくなるのかな

「啓祐さぁ、4月1日に『私、妊娠したぽいんだけ
ど』って言われたらしいよ。で、本気にとっちゃってマジで大学やめて働こうかと思ったんだって。」

「へぇー」

啓祐は根はまじめって翔君は言うけど

私が接した啓祐はただチャラチャラしてて飲み好きで

調子に乗ってるイメージしかなかった

啓祐が大学なんてやめて、土木現場で働いている姿は
たやすく想像できた




「すごいよなぁー」

翔君はまるで自分にはできないことみたいに言った

「なにがすごいの?」

「いや、だって大学やめてまでとかすごくない?」

翔君が私の顔を覗き込む

「大学やめて働くって、産むこと前提なんだ」

私はまたいつもみたいに視点も合わせないで淡々としゃべる

可愛くないことを

言わなくてもいい本当のことを

「だってさぁ、簡単に言うけどこの年で子供産むって大変だよ?せっかく入った大学も無駄にするってこと
だし」
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