私の中で男になって
第2章    初夜
いつの間にか夏がきて私の誕生日が来た


私は誕生日にこれといって特別感を感じない人間だ

だって誕生日は私が生まれたっていうだけで大した価
値を感じない

もっと別の、翔君との記念日の方がもっと大切だ

付き合った日、初めて出会った日、始めてキスした
日…

いっぱい翔君との記念日はあるのに

私の誕生日なんかを祝ってくれるなんて…






横浜っていうのは特に理由はないと思う

翔君は何となくおしゃれっぽいとかデートスポットだ
からという理由で場所を選ぶ

それはたぶん確実で失敗しないデートをするためって
言うのもあるんだろうけど

わたしは

世の中のカップルが行く場所に行きたかった

そうしたら自分が今翔君と付き合ってるってことをよ
り実感できるから

どこにでもいる普通のカップル





特別なんていらない

ただ“付き合ってる”っていうムードに乗って

翔君ともっと親密になりたかった







私は横浜っていうと何となく若い人たちがいっぱいい
るイメージはあったけど

じゃあ実際現地についてら何をするのかよくわからな
いものだ



カップルで買い物をするのは私たちの場合あんまり向
かないと思う

翔君は優柔不断というか、同じ店を何度も行き来する
人で

別に私はそれをそこまでいやなわけではないんだけど

翔君は私を連れまわすことをひどく気にしているみた
いで

気にさせてしまっていることを私が気にしてて…



といいつつも

なんだかんだで二人で店を回っていた

何が目的ってわけではなく

ただ二人でいる時間に変化のある環境を足しただけ

それでも翔君との会話が途切れことはなかった





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