私の中で男になって
いろいろな店をちょっとずつまわって私たちはこの店にたどり着いた




キラキラと全体が白っぽいデザインで

何組ものペアリングが並んでいる

ペアリングに個性的なものはほとんどないから

どれも似たような感じだけど

そのちょっとの差異を売っているらしい



「私やばいくらい指太いんだよね」
「そう?」



「前から見るとそう太くも見えないんだけど、横が意
外と太いんですよ」

店内をサーッと歩きながら話す

特にどの商品を見るわけではないけど何となく見回す



「俺なんてもっと似合わないよ?」

「そう?」

そう言って翔君の手を取って手をよく見てみる

「ぷっ」

「おい、何笑ってんだよ!」

翔君の指は私より一回り小さくて、当然指も短くて

指輪が似合わないといったのがうなずけた

「失礼だな!」

翔君はわかりやすく怒って私が手に取った自分の手を
さっと引っ込めてしまった



「だって…」

「だってなんだよ」

だって本当に指輪が似合わなそうな手だったんだもん




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