私の中で男になって
誰もいない昼間のリビング

翔君の家は天井が吹き抜けになっていた声が通る

DVDが見終わって私たちはいつもの公園みたいにおしゃべりを始めた


でもこのあいだまでとは違うのは翔君の左手が私の腰
に回っていて

私は翔君とぴったりくっついて翔君の左足をさすって
いること






何を話していたかは今となっては全く覚えていない

それは話すことよりも次に何をしたらいいんだろう、
とどこかで考えていたからだと思う

いつも以上に私は翔君に甘えていた

もう友達なんかじゃない

だからこうやって翔君の体と触れ合っていても嫌がられることはないし問題があることじゃない

ちょくちょくと会話が途切れる

そのたびにどちらかが何か言っちゃうからいけないの
かもしれないけど

どうも気まづくなっちゃう

何かしゃべっていないといけないような気がして




また、会話が途切れた




翔君の左手が強くなった気がして「ん?」ときくと

「なんでもない」という


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