【短】俺とあの人~狼の恋~
図書室の一番奥の俺の指定席に二人で並んで座り、

あの人がページをめくる。



俺は読んでるふりをして黙って座っていた。




俺、何やってんだろ…。

一人になりたくてここに来てるのに、どうして誘ったんだろ…。



あの人の髪から、甘い香りがしてくる。


その香りに誘われて、俺はあの人の横顔に視線を送った。




くりっとした二重瞼。


ちょっと丸みのある小さな鼻。


ピンク色の柔らかそうな唇……。



俺は触れたいと思った。






あんたはどんなふうにキスをするの…?





頭の中で想像が膨らむ。




小さくて


ふっくらした


柔らかそうな唇。






あんたはどんなふうになるの…?








気づいたら


俺はあの人の唇を奪っていた。











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