【短】俺とあの人~狼の恋~
ほら、来た‥。
昼休みの図書室、指定席に座る俺の前にあの人が来た。
「またキスされに来たの?」
受付席にいる図書委員しかいない薄暗い図書室。
それを知らないあの人は、他にも生徒がいると思って慌てて俺の口を塞いだ。
「違う!…」
「じゃあ、どうしてここに来たの?」
俺はあの人の手を掴んで、体を引き寄せた。
「や‥めて。この前のこと…謝ってもらおうと思って来たの」
「謝る?どうして謝んなきゃいけないの?」
「だって、あなた私に無理やり‥」
「無理やり?なに‥?なにされたの?」
『あなた』って呼ばれたことが嬉しかった。
嬉しくて意地悪したくなる。
「いやだった?」
俺の質問に顔を赤くした。
もっと見たい…。
あんたが他の奴に見せない顔をもっと見せてよ…。