【短】俺とあの人~狼の恋~
朝のホームルーム、あの人はいつもと同じように教室に入って来た。


俺の視線に気づかないのか、あの人は俺の顔を見ないまま出欠をとり終えた。




授業が始まっても、俺は昼休みのことばかり考えてた。


あの人はどんな顔で俺に会いに来るんだろう‥。



早く昼休みにならないかと気持ちが焦っていた。





「なんか今日の猛、落ち着きないな」


「そうか?そんなことないぞ」


「おかしい。なんか機嫌良さそうだし‥やっぱおかしい」



隣で安藤が俺の顔を覗き込んできた。


だけど、俺は安藤をうざいともなんとも思わなかった。





午前の授業が終わると、俺は昼食を食べないまま図書室へ向かった。



あの人が来る図書室に‥‥。






俺はいつもの指定席に座り、生徒の出入りが少ないことを願いながらあの人を待った。




そろそろ来てもいいよな…。


俺は時計の針を気にしながら、ドアが開く音が聞こえるたび冷静な顔をして入口の方を見た。




おかしい。

どうして来ないんだ?

会議でも入ったのか…?

それとも生徒に捕まってる、とか…?



俺は、あの人が来ない理由をいくつも頭の中で並べていた。









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