【短】俺とあの人~狼の恋~
昼休みが終わっても、あの人は来なかった。
俺は今まで感じたことのない思いで教室に戻った。
「猛、やっぱり変だ。さっきまであんなに明るかったのに、今落ち込んでるだろ‥?」
「べつに…。俺、眠いから寝る」
心配して声をかけてくれた安藤に顔を向けないまま席に着き、机に顔を伏せた。
なにやってんだよ…。
どうして来ないんだ?
忙しくて来れなかっただけなのか?
放課後に来るのか?
明日になったら来れるのか?
俺は、放課後になるとすぐに図書室に行った。
さっきホームルームで会ったあの人が来るのを待つために。
だけど、あの人は来なかった。
次の日も、その次の日も…。
俺は一人、
やけに大きく感じる時計の音を聴いていた。