【短】俺とあの人~狼の恋~
突然、携帯電話の着信音が鳴った。
俺はあの人から掛かってくるわけでもないのに急いで電話に出た。
「もしもし」
『おっ猛?元気だったか?
おまえが電話にすぐ出るなんて珍しいな』
電話の声は尚吾だった。
久しぶりに聞いた声が、俺をほっとさせた。
「なんだ尚吾か‥。なに?なんか用?」
『別に用はないけど、ただ元気にしてるかなーと思って。最後の冬休みだしさ』
「冬休みだからって楽しいことは一つもないよ」
『おまえ、何かあっただろ‥。声がいつもと違う』
俺はいつもの調子で話してるつもりだったけど、
尚吾にはすぐに見破られた。
『何があったんだ?』
尚吾の優しい声に俺は少し戸惑いながら
初めて恋バナというものをした。
今にも燃えるんじゃないかっていうくらい顔を熱くしながら。