【短】俺とあの人~狼の恋~
昼休みになると、俺はいつものように図書室にいた。

いつもと同じ、一番奥の席。


眠りかけた俺の前に、あの人が来た。



俺は顔を上げてあの人を見ると、

あの人は昨日のように赤い顔をしていた。



なんでそんなに赤くなってんの?

あがり症だけじゃなく赤面症もあるのか?




「今朝は…ありがとう」


小さい声で言ったあの人の言葉に、俺の心はまたくすぐられる。



そんなふうに俺を見るなよ…。


恥ずかしそうな眼差し。



そんな顔をされたら俺…

またあんたをいじめたくなっちゃうだろ‥。





「聞こえなかった。もう一回言って」

「ありが‥とう」

「もっと大きい声で」

「だって、ここ図書室だよ?大きい声なんて出せないよ‥」

「じゃあ‥聞こえるように言ってよ」




さあ、どうする‥?


俺は口元に笑みを浮かべてあの人を見た。




うつむいた顔が、さっきよりも赤く染まっていく。




降参か??


そう思った時、突然俺の耳元に唇を近づけて言ったんだ。



『ありがとう‥』







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