「次はー樫川駅ー樫川駅ー」

電車のアナウンスで目を覚ます。
もう着いたのか……

目を擦り、荷物を持って立ち上がる。

ん?


違和感を感じる。

バッと後ろを振り返る。

化け物がいた。
私たちの座っていた席の後ろに、ぐじゃぐじゃの、腐ったような化け物が座っていた。
目があるはずの場所はぽっかり穴があき、中からウジ虫が溢れていた。

「……ッッッ」

叫ぼうにも喉が締め付けられたように、声が出なかった。

< 14 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop