アンダー・ザ・パールムーン
罪滅ぼしのつもりか、夏休み、わたしが上京したら、どこに遊びに連れていってあげようか?って話をずっとしてる。
「その時は相方のレーガンのアパートに、キョウコも泊めてもらうから、宿代は心配するなよ。
電車のチケットも俺が買ってやるし」
「…うん、ありがと」
面識のないレーガン原君(お笑いコンビ【アディオス】のボケ担当。生粋の日本人)をわたしは少し恨んでる。
彼の誘いで、先輩は入ったばかりの大学を辞め、親の大反対を押し切って、お笑い芸人になる夢を叶えるために都会に旅立つ。
ーーーあと、24時間後に。
「自信ある。必ず、成功してみせるよ」
2つ歳上のキョウコの彼氏。
初めての恋人。
背が高くて天パで童顔で、面白くて、運動神経抜群で。
同じ高校の生徒会長だった藤枝タケシは、学校でも目立つ存在だった。
わたしも生徒会に入っていたから、密かに『藤枝先輩』に憧れていた。
卒業式の後、コクってやっと両想いになれたのに。
幸せって長くは続かないんだ。