アンダー・ザ・パールムーン
ずっと、キス止まりで。
キョウコのバージン欲しいって言われてて。
でも、勇気なくて、
妊娠とか怖くて、
拒否ってたのはわたしのほう。
「辛い時もあると思う。そんな時、キョウコの温もりを思い出せたら頑張れる」
先輩の真剣な眼差しに
わたしはカラダを許すことを決意した。
愛の絆を深めるための初Hをするチャンスは、今日しかなかった。
初めては、彼の部屋とか、
海の見えるペンションとか、
わたしにも理想があったのに。
わたしも先輩も常に母親が家にいるし、ペンションに泊まりにいく金もない。
「そういえば、東京には面白えラブホとか一杯あるらしいな。
ガラス張りでベッドから風呂が丸見えの部屋とか。行ってみっか?」
先輩が、明るい声で言う。
涙が、止まらない私を慰めるように。
「どうしたんだよ…なんで泣くの…後悔してるのか…?俺じゃダメだったのか…?」
何も答えられないわたしを、先輩がきつく抱きしめる。