涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈9〉好きになりたい
雲って止まって見えるけど、実は動いてる。
そんな風にゆっくりでいいから、ちょっとずつ、進めたらな……なんて。
思っても、いいんかな?
ーーガシャン!!
夕飯を食べ終えたあとリビングでテレビを見ていた時、キッチンの方で大きな音がした。
その瞬間「バクバクバク…!」と今まで感じたことのない心臓の動きがしていっきに気分が悪くなった。
……なんなん、この動悸。
「 大丈夫や!?」
キッチンの方で食器棚を整理していた美紀さんに叔父さんが駆け寄る。
息が荒くなってめまいがしながら私も美紀さんがいるキッチンへ向かった。
7月になっていっきに気温が上がった今日この頃。
美紀さんのお腹も、私が初めて見た頃よりもだいぶ大きくなっていた。