涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「……っ……」



レイと目が合って、反射的にそらす。


別にやましいことがあるわけやないのに。


……私が圭都に花火大会に誘われたけんて、レイにはまったく関係ないことやし。



「サク?どげんかしたと?」


「……別に」



席に座りながら聞いて来たレイに目線を合わせることはなかった。


彼女がおるくせに、

……優しく声なんかかけんでよ。


なんて心のなかで強がってみても、嬉しく感じる。


……私の、ばか。



「ーー夏休みやからってハメば外しすぎらんこと。それから補習あるやつは忘れずに来いよ」



圭都からのお誘いから一週間。

終業式が終わってやっと夏休みが来た。



「サクちゃん!夏休みいっぱい遊ぼうね!?」



一学期最後のHRが終わって真理ちゃんがすごい勢いでこちらに来たかと思うとそんなことを満面の笑みで言って来るもんだから……焦る。


< 112 / 259 >

この作品をシェア

pagetop