涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


レイと真理ちゃんに手を振って見送ったあと私も帰ろうとした時、


「さーくやっ」


と、飛び跳ねるように私の横に並んだ圭都にドキッ!とした。


びっくりしたー……



「送ってく」


「……ん」


「お?なんか素直じゃね?」


「うるさい、ばーか」



……素直なんかじゃない。


ただ、他の人を。

レイ以外の人を見て来なかったから。


圭都を、好きになる努力をしてみようかなって、思っただけ。


人生を諦めた、生きる気力もない、なんの魅力もない私を好きやと言ってくれたけん。


圭都が真っ直ぐな笑顔を見せてくれたけん。

圭都なら、その可能性があると、思ったから。


私も、ほんの少し、頑張ってみようかなって思っただけ。



「咲夜ちゃんっ」


「……きもっ」


「でへへ〜。きもくてもいっちゃん。咲夜が心を開いてくれたけん!」


「か、勘違いしないでよね!?私まだ圭都のこと好きやないけん!!……あ」



やばっ。


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