涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
口がすべった。
言わなくていいこと言った。
圭都を、傷つけた……?
「……大丈夫。わかっとるよ?」
「へ?」
明るく微塵にも傷ついた素振りを見せない彼に間抜けな声を出してしまった。
「咲夜がまだレイのこと好きなんはわかって好きになったつもり。やから落ち込まんし!むしろ燃えるし?」
うおおおお!
なんて雄叫びをあげながらガッツポーズをする圭都に目を見開いてから少し笑った。
……ほんとすごいなぁ。
圭都の前向きさには感心させられる。
悲劇のヒロインぶってる私がアホみたいに感じるほどの元気さ。
……そうやけんかな。
「やからなんも気にせんで、咲夜は、俺の胸に飛び込んで来たらいいっちゃん」
この人のことを好きになったら、私は間違いなく幸せになれるんやろうなって予感しかせんのは。
白い歯を見せながら、圭都が私の髪の毛をくしゃくしゃにするように撫でる。