涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
サクは……悪くないもん……
呪文のように繰り返しては、泣いた。
お母さんが『どうしたん、サク』って頭を撫でてくれたけど、言わなかった。
袋の中のチョコレートは捨てた。
『…サ、サク……!』
レイと口を聞かなくなって4日目。
おとなしく教室で自分の席に座っているとレイが私の目の前で止まった。
『……………』
『サク、今日は一緒に帰ろう』
え……?
言われた言葉にうれしくなって目に涙がたまった。
レイが……話しかけてくれた……。
『うっ……うわーんっ!』
そしてたまらなくなって大声で泣き出した私にレイがギョッとして、慌てた様子で通りすがりの先生が駆け寄って来た。
『どしたん!?星野さん?具合悪い!?』
ちがう……ちがうの……
なにも言わない私に先生が困り果てていたその時。
『サク泣かんでよぉ……』
そう言ったレイの目にも涙がたまっていた。
二人して泣き出した私たちに先生はお手上げ状態だった。