涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


怒りに任せて履いていた下駄を雑に脱ぐ。


そのまま階段を駆け上がろうとした瞬間「うっ…!」と、苦しそうな美紀さんの声に立ち止まる。



「美紀!?」



叔父さんの焦ったような声。

美紀さんはお腹をおさえて顔をしかめたあままその場に座り込んでしまった。


どうしたと……?



「美紀!大丈夫や!?」


「う……産まれるっ……!!」


「え……うぇえええ!!?」



素っ頓狂な叔父さんの叫び声、私は絶句した。


なに、産まれるって!?

あ、赤ちゃんが!!?


でも、予定日は来週のはずじゃ……?



「よ、よし、わかった…!病院に行こう。立てるや?」


「はぁあ!!痛いっ……!」



叔父さんが美紀さんを支えるように立ち上がらせる。


……わ、私はどうしたらいいんやろう?


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