涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


戸惑う私を見て

「咲夜は家におれ。連絡ばするけん」

と、叔父さんが言って。


あ……と、言いかけた言葉をやめると手にチカラを入れた。


二人が家を出ると、途端に静かになる家に、泣きそうになって、泣いた。


……どうしよう。

ちゃんと産まれて来なかったら……



『…っ、うざいって!そういうの!やめてよ恥ずかしいっ!!』



うざいって……言っちゃった。

美紀さんは正しいことを言って、悪い私をしかってくれたとに。



私は、自分の感情だけで
美紀さんにヒドイことを言った。



もしも、それが負担になって早産になったんやったら……

それで赤ちゃんがちゃんと産まれて来なかったら……



「私の、せいや……」



膝を抱えて呟いた声は、誰もいない家に響いて消えた。


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