涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
それでも、のどから手が出るほど欲しいのはただ一人。
この広い世界で、一人だけ。
私が愛して、愛されたいのは
レイだけだと、知った。
『朝ごはん自分で作って食べるとよ』
叔父さんからのライン。
『美紀さん大丈夫なん?』
『今、分娩室に入ったとこ』
……私も、病院に行きたい。
居ても立っても居られず、スマホをベッドに置くと洋服に着替えてさっさと家を出た。
病院って、確かこっちだったよね?
前に美紀さんの検診の時に一度だけ付き添ったことがある。
「ついた」
自分の記憶力の良さにほっとした。