涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


焦る気持ちをおさえて中に入る。

ナースステーションで美紀さんの名前を出したらそこまで案内してくれた。



「叔父さんっ!」


「……咲夜!」



分娩室と書かれたプレートがかかっている部屋の前。

祈るように前かがみで座る叔父さんのところに急いだ。



「よく来れたな」


「……やけん、バカにしすぎやけん」



切羽詰まった叔父さんの顔が一瞬だけほころぶ。

隣に座るとまた静かになった。



「叔父さん……美紀さん大丈夫かな……」


「大丈夫に決まっとる」


「でも昨日の美紀さん、めっちゃ苦しそうやったよ?」


「人一人産むんやけん、当たり前たい」



部屋の中にから美紀さんのすごい壮絶な声が少しだけ漏れて来てる。

聞いてるだけで胸が詰まって、苦しい。


……すごいな、美紀さん。

母親になるって、命がけなんやね。

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