涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
ああ、もう……
お母さんに、すっごく逢いたくなった。
「……うんぎゃあ〜!おんぎゃあ〜!」
部屋から聞こえて来た産声。
愛しい家族の初めて聞かせてくれた声に、ぐっと涙がこみ上げて来た。
「…っサク……!」
叔父さんが私を見て泣き出した。
微笑んで涙を噛み締めながら二人で立ち上がる。
……美紀さん、頑張ったんやね……。
「中にどうぞ」
分娩室から出て来た看護師さんが私たちを中に迎え入れた。
「美紀…!」
「えへへ、見て?男の子やって」
叔父さんの次に中に入って、遠目から美紀さんが抱く赤ちゃんに視線を移す。
……わあ、小さい。
赤くて、目が細くて宇宙人みたい。
けど、
生きてるんだね。
小さいけど、生きてるんだね。