涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
気まずい空気を打破しようと必死になってくれている圭都に「ありがとう」と言ってから私は笑った。
レイ……一体どうしちゃったの……?
さっさと階段を下りて行ったレイに圭都が慌ててついて行った。
丘に一人になる私は呆然と立ち尽くすことしかできない。
あんなに仲良くて好きだったレイに冷たくあしらわれて、悲しくないわけがない。
レイ、私のこと嫌いになったの?
なんでなん……?
「レイ……っ」
私のか細い声はこの広い空にすぐ吸い込まれた。
……心の支えだった。レイに会うことだけが。
この8年間。
レイと離れて辛かった毎日を生きて来れたのはレイとの思い出と、いつかレイに笑って会えることを楽しみにしていたから。
生きる、理由だった。
君と会いたいから、今日まで生きて来た。
……なぜレイは変わってしまったの?
溢れそうな涙をこらえて空を見上げるとこの8年間を思い浮かべた。