涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「なんか吹っ切れた顔しとーね?」


「……そうかな?」


「たぶん!咲夜が笑えるなら俺はなんでもよかけん」



たぶんって……!!


ニシシッと笑う圭都は相変わらずやね。

罪悪感なんて持たせてくれないような振る舞いに頭が下がる。



「俺のこと気にせんでいいけん?」


「……どゆこと?」


「告白はなかったことにして」



……え?



「え!?圭都ってサクちゃんのことを…!?」


「……悪りぃかよ」



興奮気味に話す真理ちゃんに固まる私。



「圭都……」


「そんな顔せんどいて。ただ俺が振られたくないだけやから」



そんなのって……いいの?

そんなに圭都に甘えていいんやろうか。



「なにかあったら相談ぐらいのるけん。……レイとうまくやれよ?」



耳もとで言った圭都の言葉。

真理ちゃんを見ると笑顔でうなずいてくれて。


……二人ともに背中を押されている私は、すごく幸せ者だなって思った。


< 165 / 259 >

この作品をシェア

pagetop