涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
お魚みたいに口をぱくぱくさせる私を見て爆笑するレイに口を膨らませる。
もう、私の気も知らないで……っ。
いい加減、心臓がもたんちゃけど……!
腕を組んでツンとそっぽを向くとレイが「こっち向いて?」と言って来て、仕方なくレイを見た。
絡まる熱い視線。
「俺はサクが好きだよ」
不意の告白に目を見開く。
いつもと変わらない穏やかな顔で笑ってるレイ。
ドキ、ドキ、ドキ……。
「ずっと、小さい頃から、サクだけが俺の中で特別やった」
「……っ……」
「俺と、付き合ってくれん?」
……心が震えた。
ずっと欲しかった言葉が聞けたから。
レイが好きで好きで。
レイだけが私の特別だった。
「レイがずっと好きやった……っ」
あの頃からずっと、変わらずに。
やわらかな風が吹く。
夏の残り香が鼻をかすめる。
学校のベランダ。
カーテンが優しく揺れた。
「……ほんと泣き虫やなぁ」
「だってぇ……うれしいっちゃもん」