涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「小さい頃よくここに遊んだよなぁ……」
「……うん」
毎日のように、ここに来ては、レイとたくさん話した。
約束していたわけじゃない。
だけど二人は必ず来てた。
レイを待ちぼうけする時間も、私はすごく楽しくて。
私より早く来ていた時は、レイを見つけた瞬間心が踊った。
「サクと二人でつくろうとした時はできんやったけど……」
「ん?」
レイがそこら中に咲く白詰草に手を伸ばす。
「サクがおらんくなって、一人で練習したとばい?」
器用に小さな輪をつくるように花たちを編んでいく。
……小さい頃、学校の昼休みに6年生の女の子たちが白詰草で花かんむりや指輪をつくっているのを見て、放課後に私もどうしてもつくりたくて、二人でつくろうとしたことがある。
でもあの頃はつくりかたを知らなくて、断念したんだった。
「サクがおらんくなって初めて俺はサクのことが大好きやったんやって気づいた。……やからよくここで一人で泣いた」