涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「サク、こっち向いて」
呼ばれて顔をあげた瞬間ほっぺにキスされたのとカシャ!とスマホのカメラの事が鳴ったのはほぼ同時だった。
えぇ……!?
写メ撮られた……!?
「へへっ。かーわいっ。待ち受けにしたけん?」
スマホの画面を見せながら笑うレイ。
つくってもらった花かんむりをかぶった私の頬に目をつぶってキスをするレイ。
画面の中の私はどこか幸せそうな顔をしているようにも見える。
でも振り向いた瞬間だったから、すごく間抜けな顔をしている。
「っやだ!消してよ……!」
「むり。永久保存です〜っ」
「ちょっと……!」
スマホを取ろうとする私を簡単にまいてしまうレイに諦めのため息を吐く。
……嬉しそうな顔しちゃって。
ニコニコして画面を見るレイ。