涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
結局半強制的に私のスマホの待ち受けもそれになった。
……バカップルみたい。
なんて思いながらもすごく嬉しくて。
この写メは私にとっても宝物になった。
「帰ろうか」
「うんっ」
手を繋ぎながら、夕暮れの道を歩いて帰った。
家の前。
なかなか離れられなくて10分が経った。
「今日もずっと一緒にいて、明日も会えるのになんでやろうね……」
「俺、一日でこの瞬間が一番やだ」
付き合いはじめたばかりだからなのかな。
時間が経てば「また明日」って、簡単に言えるようになるのかな……?
初めての恋。初めての恋人。
不器用だから、わかんない。
「……じゃあな」
「うん。また明日ね……?」
遠くなるレイの後ろ姿。
……離れたくないな。一瞬も。
目線を下げていた私に近づく足音。
顔を上げるとレイがそこにはいて。
え?
「忘れもの」