涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
ぐいっと私の肩を抱き寄せるとレイは触れるだけのキスをした。
「……じゃなっ!」
わ、忘れものって……
私とのキスってこと……!?
手をあげて走って帰って行くレイを、赤くなった顔を隠すように手の甲を顔の前にして見る……。
今にも噴火しそうに熱い。
「レイの、ばか……」
どこまでも甘いレイ。
小さい頃は乙女心なんてまるでわかっていなかった鈍感少年だったのに。
いつの間にそんなことを覚えて、大人になって来たわけ?
私はレイが初めての恋人で、こんなに戸惑ってるのに……。
完全にレイのペースにのまれてる。
……あぁ、もう、夏は終わったはずなのに暑いっちゃけど……。