涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈16〉突然のおわりに



「野村の容態だが、発作は軽いものだったらしく、もう心配ないそうだ」



先生が帰りのSHRでレイが無事だったこと、それから明日もちゃんと学校に来られることを説明して、私はもちろんクラスメイトのみんなも安堵のため息をもらした。


よかった。本当に、よかった。


……あの体育の時間から、ずっとのど元を鋭い刃に突きつけられているような感覚がしていて。


ずっと生きた心地がしていなかった。

レイが死んじゃうんじゃないかって思ったら、なにも手につかなかった。



「…………」



空席になっている斜め前のレイの席を見た。


レイがいないだけで、どうしてこんなに楽しくないんだろう。


好きだから?

付き合ってて、恋人同士だから?


きっとそのどれもが答えで

レイが私の世界のすべてだからかもしれないね。



「麗矢が無事で安心した」



放課後になって下駄箱のところでチカラなく靴を履き替えていた私の横に圭都が並ぶ。


「うん……」と笑ってみせると「変な顔」って言われて、ケンカ売られたのかと思った。


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