涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「もっとうまく笑ったらいいのに」
「……むりやし」
「んならムリに笑うなって」
なんなんよ。
ムッとして圭都を睨むとはは!とおかしそうに笑われた。
「いい顔」
「……そりゃどうも」
完全にバカにされとるよね。
……でも本当はわかってる。
気を使って話しかけてくれとること。
私のこと元気づけようとしてくれとるんだよね。
圭都が、そういう人なのは知ってる。
古びた校舎を下校している生徒たちにまぎれて圭都と二人で出て、歩き出した。
こうして並んで帰るのはいつ以来だっけ?
「圭都ありがと。圭都のおかげですこし元気になったよ」
「なら、よかったです」
「ん」
「ん」
しばらく無言のまま歩いていた私に圭都が「抱きしめてぇわ」とか言い出すから、びっくりして、また不機嫌になった。
「悪い!今のなしなし!口がすべった!」
「ばーか」
慌てた様子で顔の前で手を合わせる圭都に笑った。