涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「すいません、遅刻しました……」


「咲夜!?」



びしょ濡れの私を見て圭都がSHR中にも関わらずみんなの前で立ち上がった。


恥ずかしくてうつむいたまま扉のところに立ち尽くしていると



「星野、風邪ひくから保健室に行って体操着に着替えて来なさい」



そう、先生が言った。



「はい……」



返事をして体操着を取りに自分の席まで向かう。



「レイ……来てたんやね……」



席に座っているレイは目線を全然こっちに向けてくれない。


ドキドキ……。

イヤな、心臓の音がする。



「私、待ってたんよ……?」


「…………」



まるで聞こえていないかのようにムシするレイにくちびるを噛む。


乱暴に体操着が入った袋を取ると、走って保健室まで行った。


クラスのみんなが私のこと見ていたのに、レイだけが一度もこちらを見ようとはしなかった。


自分の激しい足音が響く廊下、階段もいっきに駆け下りた。


……あぁ、やばい、泣きそう。


< 200 / 259 >

この作品をシェア

pagetop