涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「すいません、遅刻しました……」
「咲夜!?」
びしょ濡れの私を見て圭都がSHR中にも関わらずみんなの前で立ち上がった。
恥ずかしくてうつむいたまま扉のところに立ち尽くしていると
「星野、風邪ひくから保健室に行って体操着に着替えて来なさい」
そう、先生が言った。
「はい……」
返事をして体操着を取りに自分の席まで向かう。
「レイ……来てたんやね……」
席に座っているレイは目線を全然こっちに向けてくれない。
ドキドキ……。
イヤな、心臓の音がする。
「私、待ってたんよ……?」
「…………」
まるで聞こえていないかのようにムシするレイにくちびるを噛む。
乱暴に体操着が入った袋を取ると、走って保健室まで行った。
クラスのみんなが私のこと見ていたのに、レイだけが一度もこちらを見ようとはしなかった。
自分の激しい足音が響く廊下、階段もいっきに駆け下りた。
……あぁ、やばい、泣きそう。