涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
レイの目線が下に行って、言葉はなくても、レイがなにを考えているのかがわかった。
悔しくなってくちびるをクッと噛む。
「なんで?私のどこがいかんやったと?教えてくれたら直すから……っ」
「ごめん。そういうことじゃないけん。ただ俺の気持ちがなくなっただけやけん」
気持ちが、なくなっただけ……?
そんな。
そんなのって……ないよ……。
レイの言葉に胸がチクチク痛み出す。
「ごめんサク。サクとは幼なじみに戻りたい」
「…………だよ」
「え?」
「ムリだよっ!!幼なじみに戻るとか……っそんなんムリに決まってんじゃん!!別れるなら二度と私に話しかけんでっ、もう顔も見たくない……っ!」
泣き叫ぶと私はそっぽを向いた。
頬には涙が伝って、くちびるはだらしなく震えている。
レイは一瞬だけ目を見開くと「わかった」と言って立ち上がった。
「今までありがとうな」
そう笑うと背中を向けてカーテンの中から出て行く。
あっ……待って……行かんで……っ。
遠ざかる足音。
そして閉められた扉の音が私の頭の中に響いて、まるでなにかが終わりを告げるかのような音に聞こえた。
「うっ……うわああぁんっ!」
シーンとした保健室に私の悲痛な泣き声。
終わった。
あんなに大好きだったレイとの関係が終わった。
胸が、張り裂けるように痛かった。