涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
圭都の顔を見たら、また涙が溢れて来た。
「圭都……失恋って、苦しいっちゃね……」
「……っ……」
「うまく……いかんね……」
「さくや……」
「なんで、幸せになれんちゃろ……」
なにを捨ててもいいから、レイとずっと一緒にいたかったのに。
レイが私の全てだったから……。
「これから……どうやって笑えばいいの……?」
校庭の桜が風に揺れる音。
圭都を見ると、圭都が顔を歪めて苦しそうに私を見てる。
圭都の右手の袖もとを、きゅっと掴んだ。
「けい……と……」
いつものように笑わせて。
変な顔したり、変なこと言ったりして。
私を、どこかに連れて行って……っ。
「俺にしとけよ」
え……?
「俺が……咲夜を幸せにするけん」
目を見開いた、その瞬間……。
圭都が私の肩に手を置いて、かと思うと次の瞬間にはくちびるが、私のくちびるに触れた。
……動けなかった。