涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈18〉背中あわせの涙
「まんま!まんま!」
桜が散ったかと思うとあっという間にジメジメとした梅雨が明けて、7月になった。
もうすぐで1才になる流星は、歩けるようになった。
あの日、あのキスのあと……。
『ごめん……っ。けいとっ、私……っ』
『……うん、わかっとるけん。俺こそ突然ごめん』
更にひどく泣きじゃくる私に圭都が優しく微笑みながら頭を撫でてくれた。
……圭都の気持ちは嬉しいけど、こたえられない。
レイが好きだから。
こんな中途半端な気持ちじゃ……きっと苦しいよ。
圭都とは笑っていたいから。
『泣きやむまでそばにおるけん』
手を握って、そばにいてくれた。
どこまでも優しい圭都に、甘えてしまう私はきっと残酷やね。