涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
陽射しが日に日に強くなって、むし暑くなって来た頃の放課後。
下駄箱でくつを履き替えていた時、ポケットに入れていたスマホが震えた。
……圭都からラインだ。
「教室に……来て?」
突然の誘いに首をかしげながらも、再びうわばきに履き替えて「今から行く」と圭都に返信した。
すぐ既読になるところはさすが圭都。
でも、なんで教室……?
階段を登って、教室のドアに手を伸ばした瞬間。
「だから何回も言ったやん」
レイの声が聞こえて、身動きが取れなくなる。
え……レイが教室にいる……?
どこ?
扉についてる窓から中を見ても、どこにも姿が見えない。
「咲夜のこと、好きなんやろ?」
ドキン……ッ!
今度は圭都の声が聞こえた。
すぐそこから。
え、待って。
この扉のむこう側に二人がいるの……?
姿が見えないから、座ってる……?
……って、いうか!
圭都はなにを聞いてるのよ!!
レイが私のこと好きなわけ……