涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
ムリに笑って見せるレイに胸が痛む。
「でもドナーが見つかればレイは助かるんよね……?」
「ドナーが見つかる前に俺は死ぬ」
「そんなんわからんやんか!」
「わかる!!俺にはあんまり時間がないけん……っ!」
怒鳴ったあと、眉を下げて、微かに、笑ったレイ。
……今なら、わかる。
そのレイの笑顔は悲しみを隠すためのものやったんやね。
いつもニコニコしていたのは、
誰にも辛さも苦しみも感じさせないレイの強さと誤魔化し。
「好きな女も、まともに守れんまま死ぬなんて、本当にイヤやん」
「……レイはたくさん守ってくれたよ?」
「俺が死んだあとサクが泣くんやって思うと悔しくて悔しくてたまらん」
繋ぐ手に力が入る。
「大切な女の子を泣かせて消えるとか……情けなくて泣けるわ……っ」
「レイ……っ」
「サク、ほんとにゴメンな……っ。こんな俺でゴメン。好きになって、ゴメン。ちゃんと離してやれんくて、ゴメン」
「なんば言うとるんよ」
そんなに謝らんでよ……。
謝らんで……。
「私はレイに愛されて幸せやけん……っ。レイがいたから、私は生きてる」