涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


それからしばらくして高校生になって二度目の夏休みになった。


そして毎日のようにレイとあの丘に行っては、夕方まで話し込んでいた。


真夏なのに、不思議とあの丘は夏でも涼しく感じた。


木がベンチに影を落として、風がよく通るからかな……。



「わあ、空がきれい〜っ!」



夏休みも終盤にさしかかった頃。

その日は特別空が綺麗で、入道雲が空いっぱいに広がっていた。



「サクこっち向いて」


「ん?」



……チュ。


一瞬だけ触れたくちびるに体温がぐぐっとあがる。


……訂正します。

やっぱりすごく暑いデス……。



「今日さ、学校に行かん?」


「え?今から?」


「うん。サクに、サプライズがある」



サプライズ……?


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