涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈20〉つながるいのち


夏の結婚式の思い出からまた少し時間が経って冬になった。


あんなに急いで結婚式をしなくても良かったのかもしれない。


そう思うほど最近のレイの体調は落ち着いていて。


たまにレイがいつ死ぬかわからないような病気をもっていることも、忘れそうになるぐらいだった。


二人とも17歳になって、迎えた冬。


誕生日が近い私たちは、両方の両親を集めて去年以上にお祝いをした。


来年も、再来年も、レイの誕生日をお祝いしたい。


できると、いいな……。



『サクちゃんありがとうね』



レイのお母さんから言われた言葉。


なにが……とは聞かなくても、なんとなくわかっていた。


圭都からも言われたから。



『あの時、麗矢が病気だって聞いた咲夜が逃げずにいてくれて良かった』



……逃げ出す。

そんな選択肢は、私の中にはなかった。


そんなことよりも、気づけなかったことへの申し訳なさと、レイが抱えているものの大きさに、どうしたら私が手伝えるか……。


そっちの方がよっぽど大きな問題だった。


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