涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「こんなに元気なのにね……?」



いつか動かなくなる日が来るなんて、信じられない。


レイのカッターシャツに手をかけ、ひとつずつボタンを外していく。

……手が震えて、うまく外せない。



「サク……やめろって……っ」



ようやく3つ目のボタンを外した時、かいま見えた傷痕に、戸惑いながら触れた。


これって……。



「手術の傷痕……?」


「うん……」



ちょうど手のひらぐらいの縦長の傷。

レイの、頑張った証。

優しく指でなぞって、そっと触れるようなキスをした。



「…っ………」



ビクン!と跳ねたレイの身体。


思わずレイのほうを見ると、顔をこれでもかってぐらい真っ赤にしてて。



「見んな……っ」



と、目隠しをするかのように私の視界を手でふさぎながら、甘いキスをくれた。


そのまま倒れこむ身体。

ギシッ……とベッドが軋む。


レイが好きだよ。


だから、私にもっともっとレイをちょうだい。

もっともっとレイでいっぱいにして。


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