涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


ひとしきり泣いたあと、ザッザッザッと近づいて来る足音。



「やっぱり。ここやと思ったっちゃん」


「……っ!」



そう言いながら歩いて来たのは、どこか悲しい表情をした圭都だった。


レイは圭都の親友。

圭都だって辛いはずなのに、私を探しに来てくれた……。


そういえば、レイとのことで泣いてる時はいつも私のそばには圭都がいたね。


エスパー?って思うぐらいには、どこにでも駆けつけてくれた圭都には感謝しかない……。



「うっ……」



その時だった。


お腹の底から来る急な吐き気に襲われて思わず立ち上がると我慢できずに木の陰に吐いてしまう。



「咲夜!?大丈夫や!?」


「おえっ……っ」



心配そうに駆け寄って来た圭都が背中をさすってくれた。


止まらない吐き気に胃の中が空っぽになるまで吐き続ける。



「もしかして……っ」



ひとしきり、吐き終えたあと。

肩で息をしながらお腹をおさえる。



まさか、ね。



***


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