涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「おめでとう。赤ちゃん、おるみたいやね」
次の日。
圭都につきそってもらって産婦人科を受診した。
先生の言葉に、下腹あたりに手を置く。
じんわり広がる温かさ。
ーー生きる希望だと、思った。
レイが残してくれた、生きる希望、そして力。
永遠の恋のカタチ。永遠の愛のカタチ。
それが、この子なんだ……。
「それで、どうしますか。産みますか?あなたまだ若いし、よく考えて……」
「私、産みます……っ」
「え?」
「なにがなんでも産みます……っ。レイが残してくれた命、ちゃんと守ります……っ」
力強く先生を見つめるとふっとこぼすように笑ってくれて。
「わかりました。一緒にがんばりましょう」
そう、言ってくれた。
……レイ、私、がんばるから。
がんばって、この小さな命守っていくから。
見てて。
***
その日の帰り道。
「俺が手伝うよ」
「え?」
圭都が、そう言った。
「いいよ、圭都にはこれ以上迷惑かけられんけん」
「ばかっ!!子どもひとり産んで育てるのがどんなに大変か、お前、知っとるやろうもん!?」
いきなり声を荒げた圭都に少し驚いて、そして黙った。
真っ直ぐな、眼差しで私を見ている。
確かに、美紀さんが流星と格闘してるのを間近で見ている私は、どれだけ出産と子育てが大変かを知っている。