涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。









空をゆびさして、

君を想ったら涙が溢れた。


……ずっとレイのこと考えてたら、レイは太陽でも月でもなかったよ。


空、そのもののような存在でした。



「ママ?なんで泣いとうと……?どこか痛い……?」


「ごめんね、希望(のぞみ)。泣いてないよ?おいで」



いつかの私たちのようにそこらいっぱいに咲く白詰草で遊ぶ希望。


あの時、お腹にいた希望も、もう4才になった。


あの後すぐに学校をやめた私は東野さんのお店でアルバイトを始めた。


出産の費用と生活費のしばらくは叔父さんが面倒を見てくれると言ってくれたけど、早く自立するためにはまずお金が必要だと思ったから。



「よいしょっと。いい?こうやってね、空をゆびさしたらね?心がすごーく元気になるとよ」


「ほんとー!?」



無邪気に私の真似をする希望に癒される。


大きくなるたびに、パパに似ていくね……。


髪の毛の色素が薄くて、綺麗な瞳をしてる。

タレ目が印象的な優しい男の子。


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