涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
「あ、パパだー!!」
階段を上がってきた彼の姿に、希望が笑顔で駆け寄って行く。
レイのことは希望にもちゃんと話している。
それでも希望は彼をパパと呼び、天国にいるレイのこともパパと呼ぶ。
『僕にはパパが二人いるんだ!』っていうのが希望の意見らしい。
それを初めて聞いた時は二人して顔を見合わせたっけ。
素直で優しく育ってくれている希望を見ていると、私はすごく誇らしくなる。
「わぁー!希望!お前ほんといつ見てもイケメンやなぁ……!!」
希望を軽々と高い高いしてる彼に歩み寄ると、私に気づいた彼が希望を肩車して私に手を差し伸べる。
私の薬指には、指輪がふたつ。
レイからと、もうひとつは……。
「妊婦さんは危ないから手を繋ぎましょーね」
「そのキャラうざいよ」
「がーん!」
「がーん!」
彼からの、プロポーズの時の贈り物。
パパの言葉を真似する希望に、二人でくすっと笑った。