涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
そして今、私の中には新たな命が宿っている。
二人目の予定日は来月。
偶然かどうかわからないけど、レイの命日と同じなんだ。
希望もお兄ちゃんになれるってすごく喜んでくれた。
「行くぞ、咲夜」
「圭都、ちょっと待って」
最後にもう少しだけ、この丘を眺めておきたい。
今日でこの町を出るから。
レイと過ごした日々がまだ鮮明なまま私の中にある。
レイとたくさん泣いて笑った日々を、私はこの先も絶対に忘れない。
「……よし」
「咲夜、お前今幸せか?」
圭都の問いに、私は笑って答えた。
「当たり前やろ。これからもっと幸せになるけんね!!」
力強く笑うと圭都も笑った。
そしてしっかりと手を繋ぎあって、たくさんの思い出が詰まったこの丘を後にした。
……レイ。私たちは幸せになるよ。
絶対忘れないから。
キミに愛されたこと。
キミを愛したこと。
涙が出るほどの幸せに、私は笑う。
辛い時は君を、空をゆびさして、
私はこの広い空の下で生きて行く。
-END-