涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
家に帰るとあの日あいつに荒らされて散らかった部屋が私を出迎えた。
「うわぁああんっ!」
苦しいよ……っ。
息が、できないよ……っ。
窒息しそうに息苦しい。
酸素が逃げていくようだった。
お母さん、なんで一緒に死んだん。
なんであいつだけ殺さんかっとよ?
なんで私にやらせてくれんかったん。
なんで……なんで……
私を独りにしたん?
どうしても泣き止みたくて、フラフラとおぼつかない足取りでベランダに出ては泣きながら空をゆびさした。
「あれ……っ。おかしいな……っ」
でもそんな時に限って、レイの魔法がどうしても効かなくて。
「ふぇ……ふっ……うっ……」
涙は止まってくれなかった。
レイ、会いたいよ……。
また、私の涙を止めてくれんかな。
苦しすぎて、息ができない。
ずっと首を絞められながら生きてるみたい。
レイに会いたいよ。会いたい。
助けて、お願い。
私を、助けて。
お母さん、
こんな弱虫な娘でごめんね。