涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



レイの綺麗な瞳が真っ直ぐ私を見ている。
先に耐えられなくなってそらしたのは、私。



「手術が終わってからサクがおらんくなったって知って、俺、めっちゃショックやったとよ」


「本当はね、最後にここで会った時、言おうって思ってたんやけど……どうしても言えんかった。ごめんね?」


「もういいよ。だってサクにまたこうして会えたんやけんね」



8年前と変わらない笑顔を見せてくれたレイに私も笑った。


離れていた時間があまりにも長すぎて、ぎこちない空気感に悲しいなって思ったけど、でも、レイがあの頃と変わらない笑顔を見せてくれるから。


私も、なんだか、笑えたんだ。



「私も、ずっとレイに会いたかった……」



ずっとずっと会いたかった。


会いたくて、会いたくて、しんどかった。


苦しい地獄のような毎日の中で、レイとの思い出があったから、私は生きたいと願えていたんだよ。


< 39 / 259 >

この作品をシェア

pagetop