涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈4〉カノジョと、私
『空って何色なんやろ……』
レイは小さい頃、私にこう言った。
『そんなの青に決まっとうやん?』
『本当に青なんかなー?』
レイはたまに私には理解できないような突拍子もないことを口にする。
……青やないって言うなら、この空いっぱいに広がってる綺麗な色はなんなん?
『だれが青って決めたと?つか本当にどこから見ても青なんやろか?』
本当の空の色が見たいと言ったレイに私は首をかしげた。
レイの言葉の意味がわからなかったから。
……だけど、今なら少しだけわかる気がする。
目に見えてるものだけが、本当に真実なのか。
青に隠れた本当の空の色があるかもしれんねって話やろ?
レイが言っていたことがちょっとだけわかるようになったのは、私が少し大人になったからなのかな。
やっと、幼い頃のレイに追いつけたのかな。
だとしたら、
あの頃の君はどれだけ大人で
どれだけの感情を胸に秘めていたんだろう。